東武鉄道60000系は8000系の置き換えを目的に開発された車両で、60000系が導入されるまで野田線の車両は伊勢崎線や東上線から野田線へ転属した8000系が大半を占めていましたが、野田線の前身である総武鉄道と東武鉄道が合併して以降、野田線としては初めての新型車両で、従来の野田線のイメージを一新させました。
60000系は2013年から2015年にかけて18編成が製造され、エクステリアデザインはスカイツリーラインや東上線で運用されている50000系列を基本とし、前頭部を傾斜させてスピード感を出すとともに前照灯、尾灯をはじめ丸みを帯びたデザインを多く取り入れることで、柔らかい印象を持たせています。前面および肩部を東武アーバンパークラインのイメージカラーであるブルーのカラーリングとし、路線識別を明確にしており、側引き戸両側には黄緑色の縦ラインを配色しドアの開口部を分かりやすくするとともに、沿線の自然環境との調和を図っています。室内のカラーリングは50070系をベースとしており、妻面は木目調で貫通引き戸をガラス引き戸にしたことにより、高級感と落ち着きを演出し編成中5枚ある貫通扉には衝突防止のために、アーバンパークライン沿線8市の花や花木である「さくら」「ふじ」「ひまわり」「つつじ」「ききょう」をモチーフとしたシールを貼り付けており、車内案内表示器に17インチワイドのLCD表示器が設置されています。車体は日立製作所の鉄道車両ブランドであるA-trainの構体を採用し、構体はアルミ合金のダブルスキン構体でアルミダブルスキン構体の採用により遮音性の向上を図り、床敷物は火災対策および安全性を考慮して滑りにくいゴム系の床材を採用しており、室内の照明はLED照明で乗務員の操作により点灯条件を100%、50%、25%に切り替えが出来る仕様になっています。乗務員室は野田線の車両では初めて主幹制御器(マスコンハンドル)にT字型ワンハンドルマスコンを採用し、運転台はグラスコックピット運転台で、車両情報制御装置にATlを搭載しています。台車はモノリンク軸箱支持装置式軽量ボルスタレス空気ばね台車を搭載し、車輪は曲線通過時のキシリ音を低減させるために防音リンク付き(片側ゴム巻丸リンク式)波打車輪を搭載しており、雨天・降雪時等に粘着の向上を図るために車輪とレールの間に増粘着材(アルミナ)を噴射する装置が編成の先頭軸に取り付けられています。主電動機(モーター)には三相かご形密閉式誘導電動機を搭載し、密閉式の搭載によって低騒音化を図るとともに塵埃等による電動機内部の汚損がほとんどなくなり、メンテナンスの軽減を図ることが可能となっています。
来月で就役から10年が経ちますが、来年度以降に導入予定の東武アーバンパークラインの新型車両には60000系の中間車を組み込むことになっており、これに合わせて東武アーバンパークラインで運転される列車の両数は6両から5両に変更されます。この新型車両は、主電動機(モーター)に本格搭載としては私鉄初となる同期リラクタンスモータを採用した車両推進システム(SynTRACS)を搭載しすることになっており、系式とデザインについてはまだ発表されていませんが、新型車両の導入に関連した60000系の今後の動きに注目したいです。
関連リンク
野田線(大宮~船橋間)に新型車両「60000系」を導入します!Wayback Machine (archive.org) 東武鉄道株式会社2012年11月6日のニュースリリース
東武 アーバンパークラインに5両編成の新型車両を導入します20220428101948xAjXttvVkCPcsLFY-1sKOQ.pdf (tobu.co.jp) 東武鉄道株式会社2022年4月28日のニュースリリース
温室効果ガス削減に向けて再エネ省エネ機器導入・省エネ運転に取り組んでいます20230308095247_LwL1XyTPmofsP88SaWBtQ.pdf (tobu.co.jp) 東武鉄道株式会社2023年3月10日のニュースリリース
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