現在、北海道新幹線新函館北斗ー札幌間の延伸に向けて工事が進んでいますが、JR北海道は延伸後に、函館本線と千歳線の高速化を検討しています。
函館本線と千歳線の最高運転速度は120㎞/hですが、最高運転速度の向上を図り、札幌ー新千歳空港間の所要時間を現行の最速33分から最速25分、札幌ー旭川間の所要時間を現行の最速1時間25分から最速60分に短縮します。どの程度まで、最高運転速度を向上するかは決まっていませんが、高速化にあたり、軌道強化と線形改良、高架化による踏切の解消などが必要となる見通しで、北海道新幹線新函館北斗ー札幌間が開通するまでは、新幹線に関連した工事に注力する方針で、長期的な位置付けになっています。
JR北海道は、2011年に発生した石勝線列車脱線火災事故とその後も相次いだ車両トラブルを受けて、2013年11月から減速運転措置を行っており、JR北海道が増収を図るには、都市間輸送を強化し、主要線区の高速化を図ることが重要ですが、これにより、減速運転措置を終了する目処が立ったのかもしれません。
北海道新幹線新函館北斗ー札幌間の延伸を見据えて、JR北海道は、新型車両733系の増備や新千歳空港駅の改良を行い、札幌圏の線区における利便性を向上させることになっています。その他にも、都市間輸送を充実させるために、利用しやすい輸送体系の検討や道内の線区における鉄道拠点の活性化といった、経営基盤強化の取り組みを進めることになっており、北海道新幹線の延伸後は、在来線の輸送品質向上に取り組み、増収へ繋げる方針です。石勝線列車脱線火災事故が発生する前は、在来線の高速化と合わせて、技術開発を積極的に行っていましたが、安全・安定輸送を第一で、活性化を図って欲しいです。
参考文献
「JR北海道グループ中期経営計画2026」2024年3月29日北海道旅客鉄道株式会社
車掌の仕事 田中和夫2009年10月1日北海道新聞社発行