IoTで輸送を支えるシステムである車上データ有効活用システムRemoteの導入が拡大します。
車上データ有効活用システムRemote(Remotemonitoring of train to use effectively)とは、東武鉄道と日立製作所が共同で開発したシステムで、60000系・70000系・70090系に搭載されており、乗車率、速度、架線の電圧、ノッチの値、社内の温度、機器の状態などを取得し、本社や車両基地、運行管理所などから車両のデータを常時確認することが可能で、時間帯ごとの乗車率を分析してダイヤの最適化や走行パターンを分析して省エネ運転の推進に活用することも可能です。
今年度に500系Revaty(リバティ)と60000系への導入を拡大することになっており、省エネ運転による効果が数パーセント出るだけでも数千万円規模の電力に掛かるコストを削減することが可能で、車両機器の状態を常時把握・分析することで劣化を予測して必要なタイミングでメンテナンスする状態基準保全CBM(Condtion Based Maintenance)に活用することも出来るので、車両検修の一部を遠隔でも行えるようになり安全性の向上や車両検修の効率化を図ることも可能です。
走行中に車両故障が発生した際には、乗務員と指令員・整備士間の情報共有を迅速かつ正確に行えるようになるため支障時間の短縮にも繋がるほか、今後はRemoteで取得するデータの範囲をさらに拡大することも検討されており、安全・安定輸送の向上と業務の効率化が期待されます。
50000系に新たに導入されることになっており、今後新造される車両はRemoteを標準搭載とし車上データ監視装置が非搭載の車両については順次新型車両に置き換える方針で、東武鉄道では2030年代に主要線区で幅広くRemoteが活用出来るようにすることを目指す予定です。
参考文献
「車上データ有効活用システム「「Remote」を本格導入します!」東武鉄道株式会社2021年7月14日のニュースリリース
「2023年度の鉄道事業設備投資計画」東武鉄道株式会社2023年4月28日のニュースリリース
「東武鉄道の車上IoTが生む電力削減効果、野田線「1両減車」決断にも」翁 羽翔 日経クロステック/日経コンピュータ 日経クロステック
URL(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/07131/)2022年12月8日閲覧