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２０１８年１１月から東武鉄道南栗橋SL検修庫にて進められてきた、山田コレクションのC11型123号機の復元作業が完了し、先月から営業運転を開始しています。
C11型123号機は、もとはC11型1号機として私鉄向けに1947年に日本車輛製造株式会社にて製造され、江若鐡道で活躍しました。1957年に雄別炭礦鐡道、1970年には釧路開発埠頭株式会社に譲渡されて貨物輸送に使用されましたが1975年に廃車となり、廃車後は事業家の山田建典さんに引き取られて、北海道江別市にある野幌車庫に保存されていました。野幌車庫には山田氏が収集した廃車になった鉄道車両が保存されており、この保存車両群は鉄道ファンの間で山田コレクションと呼ばれていて、山田コレクションの蒸気機関車がイベントで展示されたり新聞や雑誌に掲載されたことがあるものの山田コレクションについて知る人は鉄道ファンの間でも少なく、山田氏の体調不良により維持管理が難しくなったため、2011年に日本鉄道保存協会へ譲渡されました。
その後、2015年に山田氏はお亡くなりになりましたが、東武鉄道が2両目の蒸気機関車を導入するために、2017年に一般財団法人東武博物館へ譲渡されました。復元作業を行うために、2018年11月に野幌車庫から東武鉄道南栗橋SL検修庫へ輸送され、ボイラーについてはサッパボイラにて復元作業が実施されました。車両の状態は良好だったものの当初は、2020年の冬に復元作業が完了する予定が修繕する箇所が想定よりも多いことと新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響により、復元作業の完了予定が2021年冬に延期されました。復元作業を進めるにあたって一部の部品が新製されており、水タンクは新品に交換されて、キャブ周りは新製されたものが搭載されています。前照灯は白みがかった色合いのLEDタイプに交換され、SL大樹として既に運用されているC11型207号機とC11型325号機とは違い東武鉄道の信号システムであるT－ATSーPの車上子を搭載しており、今後様々な形で運用出来るように搭載したそうです。
2020年11月に、東武鉄道が創立123周年を迎えたこととこの123周年が同社のSL事業の転換期を迎える年であることに加えて、日本国内において唯一同一型式の車両による3機体制となるため、車両番号がC11型1号機からC11型123号機へ改番されました。東武鉄道SL復活運転プロジェクトのコンセプトである「鉄道産業文化遺産の保存と活用」「日光・鬼怒川エリアの地域活性化」「東北復興支援の一助」の3つの目的をさらに力強く推進していくとの思いが込められています。
昨年の12月24日に東武鉄道南栗橋SL検修庫にて火入れ式が挙行され、私鉄が発注した国産蒸気機関車の中で唯一、動態保存が行われている蒸気機関車になりました。今年に入り試運転を経て7月18日から営業運転を開始し、東武鉄道南栗橋SL検修庫に到着した直後は状態が良好でも車体が傷んでいる状態でしたが、綺麗な状態に復元され、営業線を走行している所を見ると感慨深く感じます。
C11型123号機が営業運転を開始したことによって、東武鉄道は蒸気機関車が3両体制になったので安定して蒸気機関車を運転することが可能となり、C11型207号機・C11型325号機との三重連運転と他線区へのイベント運転が可能となりました。野岩鉄道・会津鉄道・JR東日本只見線へ直通運転を行い、会津若松まで運転することも検討されており、同一型式が3両も揃うのは不思議な縁が感じられます。
C11型123号機の今後の活躍に期待したいです。
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参考文献
「編集長敬白 日本鉄道保存協会2011年度総会より。（上）」 鉄道ホビダスURL（https://web.archive.org/web/20120704205558/https://rail.hobidas.com/blog/natori/archives/2011/10/2011.html）2022年8月11日参照
日本鉄道保存協会会報2018年9月号 日本鉄道保存協会
「大手私鉄初！蒸気機関車の復元に挑戦！」東武鉄道株式会社2018年11月8日のニュースリリース
東武博物館だより2019年1月号 一般財団法人東武博物館平成31年1月1日発行
「東武鉄道 2両目となるC11の復元に挑む」 鉄道ジャーナル2019年2月号株式会社鉄道ジャーナル社 2019年2月1日発行
「東武鉄道 創立１２３周年を記念し、ＳＬ復元機の車両番号を「Ｃ１１形１２３号機」に決定！！」東武鉄道2020年11月6日
「2022年度の設備投資計画について」東武鉄道株式会社2022年4月28日のニュースリリース
「いよいよ７月１８日（月・祝）からＣ１１形１２３号機が営業運転を開始します！」東武鉄道株式会社2022年6月16日のニュースリリース
