綾瀬ー北千住間は、JR東日本常磐線と東京メトロ千代田線の共同区間になっていますが、なぜでしょうか。
元々綾瀬駅は旧国鉄が管理していましたが、当時の帝都高速度交通営団(現在の東京メトロ)は、千代田線の車両基地である綾瀬検車区の用地を綾瀬駅の北方約2.5㎞の地点に確保していたため、千代田線の開通に合わせて共同使用駅となり、東京メトロが管理しています。当時の国鉄は、通勤輸送の改善を図るために、東京五方面作戦に着手し、常磐線綾瀬―取手間の複々線化を行い、これに合わせて、営団(現在の東京メトロ)は、千代田線を綾瀬から国鉄(現在のJR東日本)常磐線と相互直通運転を行うことを決めました。常磐線の複々線化工事は、千代田線の建設工事と連携して施工され、綾瀬―北千住間については、国鉄(現在のJR東日本)常磐線と営団地下鉄(現在の東京メトロ)千代田線の共同区間となりました。この区間は、元々国鉄(現在のJR東日本)常磐線の区間であったため、千代田線であり、常磐線でもあるという扱いにして、この区間の運賃は、乗車券の種類によっては、東京メトロの旅客営業制度を適用することもありますが、安い方のJR東日本の旅客営業制度を適用することを特例で定めました。
千代田線綾瀬ー北千住間は、1971年4月20日に開通し、東京の北部地域における交通情勢が一転機を迎えました。当時の国鉄が進めていた東京五方面作戦は、失敗に終わってしまいましたが、千代田線が開通することによって、東京の都市高速鉄道の発達が一段と進められました。
参考文献
東京地下鉄道千代田線建設史 帝都高速度交通営団昭和58年6月30日発行
「営団千代田線と国鉄常磐線の相互直通運転のはなし」帝都高速度交通営団運転課長大塚和之 鉄道ジャーナル1971年5月号 株式会社鉄道ジャーナル社昭和46年5月1日発行
国鉄の「東京五方面作戦」佐藤信之 鉄道ジャーナル2017年2月号株式会社鉄道ジャーナル社2017年2月1日発行