東京メトロは、今年の8月21日に市ヶ谷駅と麻生十番駅にて、大雨による浸水被害が発生したことを受けて、浸水対策を強化するそうです。
浸水被害を防止するために、東京メトロでは大雨が予想される場合、地下駅の出入り口に止水版を設置することになっていますが、市ヶ谷駅の場合、止水版を格納している箱の扉が水圧で開かなかったため、取り出せなかったようです。その後、水が流入してきたため、シャッターを降ろしたところ水圧により、破損してしまったので、土嚢を積みましたが、浸水を止めることが出来ませんでした。
麻生十番駅は、2004年10月にも、台風22号による集中豪雨で、浸水被害が発生しており、1958年に発生した狩野川台風では、上野駅東口階段より雨水が流入して上野駅と田原町駅が浸水し、赤坂見附駅付近でも、浸水被害が発生しています。東京メトロが行っている浸水対策は、原則として政府や自治体から発表されている浸水想定に沿って、対策を行っており、東京メトロでは、事前に計画運休を行うことによって、利用者が、駅や車内で、浸水に遭遇しないことを前提とした対策を行っており、車両については、浸水想定区域外へ待避させることになっています。
荒川の氾濫を想定した防災対策も進めており、荒川が氾濫した場合、荒川から離れた大手町付近でも浸水することが想定されていますが、上野駅よりも東側にある線区の海抜の低い箇所では、駅の入口が、歩道より高くなっており、防水扉を設置して、完全に密閉出来るような構造に改修されています。道路などに設置している換気口には、トンネル内が浸水するのを防ぐために、浸水防止機が設置されており、遠隔操作により換気口を閉鎖することが可能で、予想浸水深2mを超える箇所には、水深6m対応の新型浸水防止機の設置が、順次進められています。
地下区間の坑口には、坑口からトンネル内に水が流入するのを防ぐために、防水ゲートが設置されており、河川の下部を通過する箇所については、川底が崩壊して水が流入するのを防ぐために、トンネルの断面を閉鎖・密閉するための防水ゲートが設置されており、万が一、浸水した場合は、ポンプでトンネル外に排水出来るようになっています。
鉄道の安全と東京の都市機能を守るために、様々な対策が行われていますが、今後は、最新の被害想定に基づいて、対策を進めることになっています。