東京メトロの駅で、入口の高さが歩道より高くなっている駅がありますが、それにはある大事な理由があります。
それは何かと言うと、大雨や台風の際に、駅構内や線路内が浸水するのを防ぐためです。
隅田川以東の土地が低い地域にある駅については、入口から雨水が流れ込み駅構内や線路内が浸水するのを防ぐため、入口を歩道より高くしており、防水扉も設置されています。
東京メトロでは、荒川の氾濫を想定した防災対策を進めており、道路などに設置している換気口にはトンネル内が浸水するのを防ぐために、浸水防止機を設置しています。1958年に発生した狩野川台風では、上野駅東口階段より雨水が流入して上野駅と田原町駅が浸水し、赤坂見附駅付近でも浸水被害が出たほか、民営化した2004年には南北線麻布十番駅で台風22号の集中豪雨による浸水被害が発生しています。
その他にも、浸水対策として地下区間の坑口に防水ゲートを設置しており、河川の下部を通過する箇所については、川底が崩壊して水がトンネル内に侵入するのを防ぐために、トンネルの断面を閉鎖・密閉するための防水ゲートを設置しています。荒川が氾濫した場合、荒川から離れた大手町付近でも浸水することが想定されており、鉄道の安全と東京の都市機能を守るために今後も整備が進むでしょう
参考文献
「東京メトロの大規模浸水対策」建設総合ポータルサイトけんせつPlaza URL(https://www.kensetsu-plaza.com/kiji/post/22019)2023年10月4日参照
東京メトロの浸水対策
地下鉄博物館特別展 地下鉄の安全をまもる人と設備の紹介展リーフレット 公益財団法人メトロ文化財団地下鉄博物館発行
「電力・防災・列車無線設備の概要」清水芳樹・前田亮 鉄道ピクトリアル2016年12月号臨時増刊号株式会社電気車研究会 鉄道図書刊行会平成28年12月10日発行
もぐらの履歴書 吉村新吉株式会社文芸社2005年1月15日発行