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東京メトロは、全車両にエアコンを搭載していますが、かつてはエアコンを使用するとトンネル内の気温が上昇する原因になるため、車両のエアコンは搭載せず、トンネル内にエアコンを設置して、冷えた空気を車内に取り入れていました。
トンネル冷房は、1971年に当時の帝都高速度交通営団(現在の東京メトロ)が、将来車両にエアコンを搭載した場合、車両から排出される熱でトンネル内の温度が上昇することを抑えるとともに、駅冷房の効果を上げるために導入しました。最初に、銀座線稲荷町ー上野間に導入され、トンネル内の中柱の間約3mの間隔に約100台設置され、約8度に冷却した水を鉄枠で付けたパイプで循環させる方式でした。最盛期には、33駅間で稼働していましたが、車両へのエアコンの搭載が急速に進んだことや高効率な駅冷房を導入したことにより、2006年に丸ノ内線淡路町ー大手町間を最後にトンネル内冷房の使用は終了しました。
地下鉄開通当時は、「夏涼しく、冬暖かい地下鉄」がウリでしたが、都市化の進展や人口の増加とともに、運転本数や両数が増えていくことによって、トンネル内の熱量が増加し、地下水が減ったことも大きく影響しています。
参考文献
Tokyo Metro News Letter 2017年8月 第69号 「東京メトロにおける冷房化の歴史」編 東京メトロ
もぐらの履歴書 吉村新吉株式会社文芸社2005年1月15日発行