防雪柵は線路に雪が直接吹き込むのを防止するために設置される柵のことで、駅構内のポイント付近や吹き溜まりが出来やすい場所に設置されることが多く、豪雪地帯の路線で見ることが出来ます。
防雪柵には吹き溜め柵と吹き止め柵の2種類があり、どちらの柵も減風効果により柵の前後に雪を堆積させて、線路内に吹き込む雪の量を減らすことを目的としています。
吹き溜め柵は柵の風下側に多くの雪を吹き溜めることが可能で、一方で吹き止め柵は柵の風上側に雪を貯留して線路上の吹き溜まりを防止する対策であり、線路に近い位置に設置する場合に用いられています。
また、防雪柵には固定式と仮設式の2種類があり、線路沿いの用地を取得出来る場合は固定式の柵が設置されますが、用地に制約がある場合や土壌が凍結しないと十分な支持力が得られない泥炭地では借用した用地に柵を冬季に仮設して、雪解け後に撤去する措置が取られています。
鉄道の冬季対策の多くは鉄道林が担っていますが、豪雪地帯は林木の生育に適さない飛砂地や泥炭地であることが珍しくなく、鉄道林が吹雪防止機能を発揮するまで成長するには、30年以上の長い年月を要することも稀ではないため、鉄道林の造成と同時に設置されるのが一般的でした。そのため、1880年代から防雪柵が使われるようになり、当初は、東北地方の線区に設置され、その後、北海道の線区にも設置が進みました。
よく見てみると普通の柵に見えますが、冬季における安全輸送を支える重要な設備です。
参考文献
「特別連載 基礎鉄道技術の変遷シリーズ 第28回鉄道の防雪柵」JREA2020年12月号一般社団法人日本鉄道技術協会令和2年12月1日発行
車掌の仕事 田中和夫北海道新聞社2009年10月1日発行
「雪に立ち向かう―安全・安定輸送を確保するために」 JR東日本秋田支社2016年1月15日ニュースリリース
JR北海道ホームページ(https://www.jrhokkaido.co.jp)2022年11月29日参照