現在、福島駅付近にある東北新幹線と山形新幹線を結ぶアプローチ線は単線で、山形新幹線の上下線の列車が共用しています。福島駅の山形新幹線のホームは、東北新幹線の下り線ホームの14番線を上下線で共用しているため、山形新幹線の上り列車が東北新幹線の上り線に入線するには、東北新幹線の下り線を走行する必要があります。そのため、平面交差が生じるので、運転計画の策定に制約があったり、輸送障害が発生した際に、ダイヤが復旧するまでの時間が掛かってしまうこともあります。その問題を解決するために、現在、山形新幹線上り線専用の東北新幹線と山形新幹線を繋ぐアプローチ線の建設工事が行われています。
この工事では、庭坂街道こ線橋の上部を通る高架橋を540m、地平区間を760mの計約1.3Kmを新たに設けます。庭坂街道こ線橋付近を境に工区を福島駅側と新庄駅側の2つに分けて福島駅側の約245mから着工し、本体工事を2023年度中に終えた後に高架区間では橋梁と盛土新設、地平区間では切土と路盤新設などの土木工事と軌道敷設工事、その他にも踏切と案内サインの改良など電気設備の改良などの工事も行うことが予定されています。完成後は、東北新幹線と山形新幹線を結ぶアプローチ線が上下線それぞれ別線となることによって平面交差が解消されるので、輸送障害が発生した際にダイヤが復旧するまでに掛かる時間の短縮と福島駅での山形新幹線の上下線の列車を同時に発着させることが可能になり、これは東北新幹線と山形新幹線だけでなくJR東日本の新幹線網全体に利点があります。
完成は2026年度末に予定されており、山形新幹線は2024年春に新型車両E8系を導入し、東北新幹線を走行する際にE5系と連結して、宇都宮ー福島間で最高運転速度300Km/hでの運転を目指すことも予定されているので、東北新幹線と山形新幹線の利便性がさらに向上することが期待されます。
参考文献
「山形新幹線をより便利に快適にします」 東日本旅客鉄道株式会社2020年3月3日のニュースリリース
JR東日本ホームページ(https://www.jreast.co.jp/company/)2022年12月28日参照
「新幹線特集 東日本旅客鉄道 JR東日本の新幹線の現状と今後の展望」山田裕介(東日本旅客鉄道(株)・鉄道事業本部運輸車両部新幹線輸送計画グループ) 運転協会誌2014年1月号一般社団法人日本鉄道運転協会平成26年1月1日発行